賃貸物件から退去する際、入居中に自分で導入した光回線の撤去工事が必要になるケースがあります。撤去費用は回線の種類によって無料〜約3万円と幅があり、2026年4月からはNTT東西のフレッツ光・光コラボでも派遣工事が有償化されるなど、制度面でも大きな変化が起きています。
結論から言うと、撤去工事が必要かどうかは大家さん・管理会社の判断と回線事業者の契約条件の2つで決まります。まずは管理会社に確認し、不要と言われればONU(回線終端装置)の返却だけで済むケースがほとんどです。
この記事では、光回線の撤去が必要になる3つのケース、主要回線の撤去費用一覧、退去までの具体的なスケジュール、そして費用を最小限に抑える方法まで詳しく解説します。
この記事でわかること
- 光回線の撤去工事が必要な3つのケースと不要なケース
- 主要光回線6社の撤去費用を比較(2026年の制度変更を反映)
- 退去日から逆算した手続きスケジュール
- 撤去費用を0円にする3つの方法
- 撤去工事を忘れた場合の対処法
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そもそも光回線の撤去工事とは?

光回線の撤去工事とは、開通時に電柱から室内へ引き込んだ光ファイバーケーブルと光コンセントを取り除く作業のことです。
撤去工事では、具体的に次の作業が行われます。
STEP1:光コンセントの取り外し
壁面に設置された光コンセントを撤去し、もともとあったコンセントやモジュラージャックを元に戻します。
STEP2:室内の光ファイバーケーブルの撤去
壁の中を通っている光ファイバーケーブルを引き抜きます。
STEP3:壁の穴埋め・防水処理
ケーブルの引き込み穴をパテで埋め、防水加工を施します。
作業時間は30分〜1時間程度で、契約者本人または委任された人の立ち会いが必要です。
光回線の撤去工事は電気工事士の資格が必要な作業です。無資格者が勝手に撤去すると違法行為になる可能性があるため、必ず回線事業者に依頼してください。
なお、撤去費用と解約違約金は別物です。違約金は契約期間内の解約時に発生するもので、撤去費用は物理的な工事にかかる費用です。両方が同時に発生する場合もあるため、混同しないよう注意が必要です。
撤去工事が必要な3つのケース

光回線の撤去が必要かどうかは、主に3つの条件で判断されます。自分がどのケースに該当するか確認しておきましょう。
ケース①:大家さん・管理会社から撤去を求められた場合
賃貸物件には、退去時に部屋を入居前の状態に戻す「原状回復義務」があります。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、賃借人の故意・過失による損耗は賃借人の負担と定められています。
入居後に自分で光回線を導入した場合、大家さんから撤去を求められれば工事が必要です。ただし、「次の入居者のためにそのまま残しておいてほしい」と言われるケースも少なくありません。光回線が導入済みの物件は入居者にとって魅力的なため、付加価値として残すことを歓迎するオーナーも増えています。
ケース②:回線事業者の契約で撤去が義務付けられている場合
回線事業者によっては、契約書に「解約時は設備を撤去する」と明記されていることがあります。特にauひかりホームタイプでは、2018年3月〜2022年6月に契約した場合は撤去工事が必須となっています。
契約書を確認するか、回線事業者のサポート窓口に問い合わせて撤去の要否を確認しましょう。
ケース③:ONU等の機器を自分で取り外せない場合
ONU(光回線終端装置)が壁の中に埋め込まれているなど、自分で取り外しができない場合は、たとえ大家さんから撤去不要と言われていても、回線事業者に依頼して機器を回収してもらう必要があります。レンタル機器の未返却は違約金や追加費用が発生する原因になるため注意してください。
撤去工事が不要なケース

逆に、撤去が不要なケースも複数存在します。
- 入居時から光回線が導入されていた場合:元の「原状」が回線導入済みの状態なので撤去は不要
- 大家さんが「残しておいてOK」と言った場合:回線の解約手続きとONUの返却だけ行えばOK
- 同じ回線事業者で引っ越し先に移転する場合:移転手続きで撤去費用が免除されるケースが多い
- 光コラボ間の事業者変更(乗り換え)の場合:NTTの回線設備はそのまま再利用可能
いずれの場合も、退去が決まったらまず管理会社に「光回線の撤去は必要ですか?」と確認するのが最優先です。
【2026年最新】主要光回線の撤去費用を比較
光回線の撤去費用は事業者によって大きく異なります。2026年の最新制度を反映した一覧表で確認しましょう。
これまで撤去費用が無料だったNTT東西のフレッツ光および光コラボ(ドコモ光・ソフトバンク光・ビッグローブ光等)で、2026年4月以降の解約申し込み分から派遣工事が有償化されます。無派遣工事(設備残置+ONU自主返却)は引き続き無料です。
撤去費用一覧表
| 回線事業者 | 住居タイプ | 撤去費用(税込) | 撤去の要否 |
|---|---|---|---|
| フレッツ光(NTT東日本) ※2026年4月以降 | 戸建て | 13,200円(派遣工事の場合) | 任意(大家指示時は必要) |
| 〃 | マンション | 11,000円(派遣工事の場合) | 任意 |
| フレッツ光(NTT西日本) ※2026年4月以降 | 戸建て | 20,900円(派遣工事の場合) | 任意(大家指示時は必要) |
| 〃 | マンション | 14,300円(派遣工事の場合) | 任意 |
| ドコモ光・ソフトバンク光等 (光コラボ全般) | 戸建て/マンション | フレッツ光に準じる (NTT回線利用のため) | 任意(大家指示時は必要) |
| auひかり (2022年7月以降契約) | ホーム | 31,680円 | 任意(撤去希望時のみ) |
| auひかり (2018年3月〜2022年6月契約) | ホーム | 31,680円 | 必須 |
| auひかり (2018年2月以前契約) | ホーム | 11,000円 | 任意 |
| auひかり | マンション | — | 基本不要 |
| NURO光 | 戸建て/マンション | 11,000円程度 | 任意(大家指示時は必要) |
※上記は標準的な撤去費用です。土日祝日の工事は追加で3,300円が発生します。
NTT東西とも、工事担当者が訪問しない「無派遣工事」を選べば撤去費用は無料です。無派遣工事では、光ファイバーケーブルや光コンセントは残したまま、ONU等のレンタル機器を自分で返却します。大家さんが「設備を残してOK」と言ってくれれば、この方法で費用ゼロにできます。
退去までの手続きスケジュール【タイムライン】

光回線の撤去は、退去日から逆算して早めに動くことが最大のポイントです。特に2〜4月の引っ越しシーズンは工事予約が殺到し、1ヶ月以上待ちになることもあります。
退去2ヶ月前:確認・判断フェーズ
STEP1:管理会社・大家さんに撤去の要否を確認
「退去にあたり、光回線の設備を撤去する必要はありますか?」と問い合わせます。
STEP2:回線事業者の契約内容を確認
契約書に撤去義務の記載があるか確認します。不明な場合はサポート窓口に問い合わせましょう。
STEP3:引っ越し先のネット環境を検討
同じ回線を移転するか、解約して乗り換えるかを決めます。移転の場合は撤去費用が免除されることがあります。
退去1ヶ月前:手続き・予約フェーズ
STEP4:回線の解約または移転を申し込み
回線事業者のサポート窓口またはWebサイトから手続きを行います。
STEP5:撤去工事の日程を予約
退去日の前に余裕を持った日程で予約します。繁忙期(2〜4月)は2ヶ月前の予約がおすすめです。
退去当日〜退去後:工事・返却フェーズ
STEP6:撤去工事に立ち会う(派遣工事の場合)
作業員が訪問し、光コンセント撤去・配線撤去・穴埋め処理を行います。作業時間は30分〜1時間です。レンタル機器は作業員が回収してくれる場合がほとんどです。
STEP7:レンタル機器の返却(無派遣工事の場合)
ONU・ルーター等を回線事業者から届く着払い伝票で返送します。
退去日までに撤去が完了しないと、退去後も賃料が発生する可能性があります。また、管理会社に代理立ち会いを依頼すると手数料がかかることも。どうしても間に合わない場合は、早めに管理会社に相談して代理立ち会いの可否を確認しましょう。
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撤去費用を最小限に抑える3つの方法

撤去費用は工夫次第で大幅に抑えられます。以下の3つの方法を検討してみてください。
方法①:大家さんに「残置」を交渉する
光回線の設備が残っていると、次の入居者が新たに工事をする手間が省け、物件の付加価値になります。「光回線が使える物件」は募集時のアピールポイントにもなるため、交渉次第で撤去不要と判断してもらえる可能性があります。
交渉のコツは、引っ越しが決まった時点で早めに相談すること。退去直前の交渉は管理会社側も対応しにくいため、余裕を持って話を持ちかけましょう。
方法②:乗り換え先の違約金負担キャンペーンを活用する
多くの光回線事業者は、他社からの乗り換え時に解約違約金や撤去費用をキャッシュバックで補填するキャンペーンを実施しています。
たとえば、ソフトバンク光の「あんしん乗り換えキャンペーン」では、他社の解約金・撤去工事費を最大10万円まで還元(2025年12月時点)。引っ越し先の回線を選ぶ際は、こうした乗り換えキャンペーンの有無もチェックしておくと、実質的な負担を大きく減らせます。
方法③:無派遣工事を選ぶ(NTT系回線の場合)
2026年4月以降もNTT東西の無派遣工事(設備残置+機器自主返却)は無料です。大家さんから設備残置の了承を得られれば、ONUを返送するだけで撤去費用は一切かかりません。
NTT東日本の場合、公式サイトから解約手続きを行い、「無派遣工事」を選択すればOKです。詳しくはNTT東日本の撤去工事費に関する案内ページで確認できます。
撤去費用以外にかかる可能性のある費用

退去時には撤去費用だけでなく、以下の費用も発生する可能性があります。事前に把握して、トータルの退去コストを計算しておきましょう。
退去時に発生しうる費用一覧
| 費用項目 | 金額目安 | 発生条件 |
|---|---|---|
| 撤去工事費 | 0〜31,680円 | 大家指示または事業者義務の場合 |
| 契約解除料(違約金) | 月額料金1ヶ月分程度 | 更新月以外の解約時 |
| 工事費残債 | 0〜40,000円程度 | 工事費分割中の途中解約時 |
| 機器未返却の損害金 | 機器により異なる | レンタル機器を返却しなかった場合 |
| 原状回復費用(壁穴など) | 3〜5万円程度 | 撤去せず放置し、大家から請求された場合 |
2022年7月施行の改正電気通信事業法により、光回線の解約違約金は月額料金1ヶ月分相当が上限となっています。以前のように高額な違約金を請求されることは、新規契約分についてはなくなりました。
光回線には、契約書面の受領から8日以内であれば違約金なしで解約できる制度があります。総務省の消費者保護ルールで定められており、クーリングオフに近い仕組みです。NTT東日本では、2026年4月の撤去工事費有償化に伴い、既存契約者にも初期契約解除制度を適用する旨を公式サイトで案内しています。
引っ越しが多い方には、工事不要・違約金なしのWiMAXがおすすめです。GMOとくとくBB WiMAXなら、万が一の場合も8日以内なら無料でキャンセル可能です。
撤去工事を忘れた場合の対処法

「退去してしまった後に光回線の撤去を忘れていた」というケースは意外と多いです。慌てず、以下の手順で対応しましょう。
退去後に気づいた場合のステップ
STEP1:管理会社・大家さんに連絡
まず管理会社に連絡し、「光回線の撤去が必要かどうか」を確認します。不要と言われれば、回線の解約手続きと機器の返却だけで完了です。
STEP2:回線事業者に解約と撤去を依頼
撤去が必要な場合は、回線事業者に解約の連絡をし、あわせて撤去工事を依頼します。
STEP3:工事日程を管理会社と調整
すでに退去している場合、工事の立ち会いは管理会社の担当者や新しい入居者にお願いすることになります。管理会社に工事日の候補を伝えて調整してもらいましょう。
撤去を忘れて放置すると、月額料金の請求が続くだけでなく、管理会社から原状回復費用を請求される可能性もあります。気づいた時点ですぐに行動することが大切です。
賃貸で光回線を引くなら「出口戦略」も考えておこう
これから賃貸物件で光回線を契約する方は、退去時のことも見据えて回線を選ぶのが賢い方法です。
- 光コラボ(ドコモ光・ソフトバンク光等)を選ぶ:NTT回線を使うため、事業者変更が容易で設備を残置しやすい
- 工事費「完全無料」の回線を選ぶ:「実質無料」は途中解約で残債が発生するが、「完全無料」なら残債なし
- 契約前に大家さんに撤去の方針を確認:導入時に「退去時は残置でOK」の了承を得ておくと安心
- 短期入居なら工事不要のWiMAXも選択肢:2年以内の退去が見込まれる場合は撤去の心配が不要
特に転勤族や1〜2年の短期入居が見込まれる方は、光回線の代わりにホームルーターやモバイルルーターを検討するのも有効です。GMOとくとくBB WiMAXなら工事不要でコンセントに挿すだけ。万が一合わなくても8日以内なら無料で解約できるため、気軽に試せます。
よくある質問(FAQ)
Q. マンション(集合住宅)でも撤去工事は必要ですか?
マンションの共用部に既設の光回線がある場合(VDSL方式やLAN方式)は、部屋への個別引き込みがないため撤去工事は不要です。ただし、光配線方式で個別に引き込みをした場合は、大家さんの指示次第で撤去が必要になることがあります。
Q. 撤去費用は誰が負担しますか?
原則として光回線を契約した本人が負担します。ただし、乗り換え先の光回線やWiMAXのキャッシュバックキャンペーンを利用すれば、実質的に負担を軽減できます。
Q. 光コンセントはそのままにしていいですか?
大家さんが「そのままでいい」と言えば残せます。ただし、回線事業者から撤去を指示されている場合は撤去が必要です。両方に確認するのがベストです。
Q. 引っ越し先で同じ光回線を使い続ける場合も撤去は必要?
同じ回線事業者で移転手続きを行えば、旧住所の撤去費用が免除されるケースが多いです。ただし、大家さんから撤去を求められた場合は対応が必要です。移転手続きの詳細は各回線事業者の公式サイトで確認してください。
Q. 2026年4月以降、フレッツ光(光コラボ)の撤去は必ず有料になりますか?
無派遣工事(設備残置+機器自主返却)は引き続き無料です。有料になるのは工事担当者が訪問する「派遣工事」のみです。大家さんから残置の了承を得られれば、従来通り費用ゼロで解約できます。
まとめ:退去が決まったら「撤去が必要か」の確認を最優先に

賃貸退去時の光回線撤去について、要点を整理します。
この記事のまとめ
- 撤去が必要かは「大家さんの判断」と「回線事業者の契約条件」で決まる
- 費用は回線の種類で0〜31,680円と差がある。フレッツ光・光コラボは2026年4月から派遣工事が有償化
- 管理会社への確認は退去2ヶ月前、工事予約は1ヶ月前が目安。繁忙期はさらに早めに
- 大家さんとの「残置交渉」や「乗り換えキャンペーン活用」で費用を大幅に抑えられる
- NTT系回線は「無派遣工事」を選べば引き続き無料で解約可能
退去時のトラブルを防ぐためにも、引っ越しが決まったら管理会社への確認を最優先で行いましょう。不明な点があれば、国民生活センターや総務省の電気通信消費者相談センターに相談することも可能です。
転勤や引っ越しが多い方は、そもそも撤去の心配がない工事不要のインターネット回線も検討してみてください。
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